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「まさか娘がこんなことするなんて」170年続く奴振りに初めて女性が参加 能登・珠洲の中学生が挑む祭り
石川県珠洲市正院町の秋祭りで行われる伝統行事、奴振り。地震などの影響で担い手が不足する中、今年、初めて女性の参加が認められました。奴振りに挑んだ女子中学生を取材しました。
珠洲市正院町に伝わる伝統の秋祭り。見どころはドテラと呼ばれる花模様の衣装を身に着け、シャンガと呼ばれる毛やりを振り回しながら町中を進む、奴振りです。
170年以上続く伝統で、これまで男性のみが参加を許されていましたが、今年初めて女性の参加が認められました。そのうちの一人が中学2年生の番匠衣乃里さんです。
番匠衣乃里さん:
「緊張するけど、頑張って最後までやり切りたいです。」
おととしの能登半島地震で甚大な被害を受けた正院町。祭りの中心となる須受八幡宮でも、祭り道具を保管していた建物が潰れました。震災の前までは約250軒いた氏子も、今では約100軒にまで減少。祭りだけは絶やしたくない。地域の人たちは伝統を継承するために、祭りのあり方を変えることを選びました。
須受八幡宮・高山哲典禰宜は、「今年も含めてここ震災から3年に限っては、神社がこの状態なので神輿が出せないんですよ。それで、町中の氏子の方々が、少しでも町に元気を取り戻したいというところで、今回はそういった意味で町を祓い清める意味で、特別に女の子にも参加してもらった。」と話します。
祭りの前、約10日間にわたって行われる奴振りの練習。女性として初めて参加する衣乃里さんも連日熱心に取り組みます。
衣乃里さん:
「友達に誘われたのもあるし、小さいころからかっこいいなぁって思って見てきたから。」
憧れだった奴振りですが、実際に挑戦してみると簡単ではありません。
衣乃里さん:
「手をずっと上げているのが大変。あと、シャンガを回すのが難しいです。」
長さ2メートル50センチにも及ぶシャンガを昼から夜まで回し続ける奴振り。特に手首をひねってシャンガの上についている毛を広げる技が、奴振りの見栄えを左右します。
指導に力が入るのは父親の哲也さん。哲也さんも約30年前に奴振りを始めたころは、シャンガをうまく回せるか不安があったといいます。
父・哲也さん:
「こうやってちょっとふわっと。これが衣乃里は出来んって言っとる。初めてやから。」
父がやって見せて、娘が真似る。祭りにかける思いを伝える大切な時間です。
父・哲也さん:
「いいな、頑張っとるなって。まさか娘がこんなことするなんて思ってなかったし、嬉しい。」
祭り当日。
父・哲也さん:
「これが俺が使ってたやつ。」
ーーいつ頃使っていた?
哲也さん:
「中学校のときこれ使ってました。」
衣乃里さん:
「大事に使いたいなって思っています。」
総取り・畑さん:
「みんな一人ひとり、かまたきに負けない声で全力で最後まで頑張りましょう。えーーーい。」
午後3時、いよいよ奴振りが始まります。父の隣に立つ衣乃里さん。掛け声を響かせ、堂々と踊ります。シャンガを回し毛を広げる技も見事に表現できています。
奴振りは地震で家を失った、仮設住宅で暮らす人たちの前でも披露されます。
そして午後8時。一行は須受八幡宮に戻ってきました。初めての奴振りをやり遂げた衣乃里さん。
ーー終わってみてどう?
衣乃里さん:
「楽しかったです。やっぱり、最後までやり切れてよかったのと、しっかり、練習のことを意識できてよかったです。出来れば奴振りにこれからも参加したいです。」
次の担い手としての思いが芽生えていました。
父・哲也さん:
「娘と一緒に奴振りできたっていうのは、宝かなあと思います。」また来年も、もし、やってもいいよって言われるならやってほしいなって思います。やっぱり祭りを絶やしたくないですね。」
父から娘へ。復興に向けて歩む町で、祭りを愛する心は次の世代に確かにつながっています。